「ルビィ」/ 重松清 レビュー
ルビィ
評価:★★★★★
二人の幽霊ルビィとダザイさんが、人生に絶望している人たちや死ぬ運命にある人たちにちょっとした救いをもたらして、命を救っていく物語。
車のサイドブレーキが外れてゆっくりと坂道を下っていくように、ゆっくりと自死へと進んでいく人たち。
人生に絶望してまず心が死んでしまって、そこからゆっくりと死に進んでいく。
そんな死に方って確かにあるのかもしれない。
そうやって死にゆっくりと近づいていってしまう人たちを、二人の幽霊ダザイさんとルビィが救っていく。
この二人の幽霊には、人の記憶や心の中に入り込む力があり、その力を駆使して、死にゆく運命の人に小さな、でもとても大きな救いをもたらしていく。
その救いがなんともいえない絶妙さで、とっても些細な救いなんだけど、生きていくにはそのくらいの理由でいいんだ、と思わせてくれる。
すごく良かった。この小説を読んでいると、生きているのも悪くないな、と思える。
最後、ルビィへのメッセージで締める構成も、とてもいい。
生きていることにも、死ぬことにも中途半端になっている人たちへのメッセージ。
ぜひ、読んでほしい。
ということで、星5つ。